備忘録

ただの日記になると思います

タクフェスの「流れ星」のことと「足りない」のことはなす

宅間孝行さんという何でも屋のおじさまが主催しているユニット?プロジェクト?の公演を観てきました。

「流れ星」という舞台。2009年の再演を観ているので、実に10年振り。

http://takufes.jp/nagareboshi/

 

宅間さんの舞台自体は、東京セレソンデラックスというタクフェスの前身時代から観ていて、たぶん2007年の「歌姫」が最初。

そこからほぼ毎年、宅間さんの舞台を観に行っている。

 

そもそものきっかけはTEAM NACSだったと思う。

確か、ちょうどHONORが終わった頃。

まだNACSのこと知ったばっかりで、ファンクラブにも入ったばっかりで、当たり前だけどHONORのチケットは取れなくって、でも舞台ってやつを観てみたい!って思ってた頃で。

CUE DIARYで、戸次さんと大泉さんが「歌姫」の話をしてて、大好きなふたりが勧めるんだからこれは観に行かなくちゃ、と思って、慣れない新宿をうろうろして当日券を買って観に行ったんだった、と思う。

演劇ってとってもわかりやすくてとっても楽しいものなんだ、ってことを宅間さんが教えてくれた、運命的な一日になったのでした。

この日から一貫してわたしの好きなタイプ(人間部門)は「四万十川太郎」。

 

という朧げな記憶を裏付ける当時のダイアリーを見つけた!

わたしの記憶正しかった!すごいー!やっぱりしげとようちゃんだった!

https://www.office-cue.com/diary/contents_view.php?id=5794

https://www.office-cue.com/diary/contents_view.php?id=5800

 

 

 

話を戻します。

 

宅間さんの舞台は、今回の「流れ星」にしろ、今まで何度か再演されてる「歌姫」にしろ、「夕」にしろ、「くちづけ」にしろ、「あいあい傘」にしろ、それからもちろん新作も、あらすじを知っていようが知っていまいが、構えていようがいまいが、毎回ぼろぼろ泣いてしまう。

わたしはこれまで10割泣いてるんだけど、たぶんわたしだけじゃないと思う。

このあとあれが来るぞ、って思ってても泣いちゃう。

何でなんだろ、って昨日も考えていた。

 

 

 

 

宅間さんの書くキャラクターは、いい人とか悪い人とか、味方とか敵とか、真面目とか不真面目とか、そういう簡単なカテゴライズができない。

それぞれが自分の信念に従っていたり、美学を持っていたり、いろいろなことに流されたり巻き込まれたりしながら、一生懸命生きてるんだよな。

だからみんなのことをとてもとても好きになってしまう。

みんな幸せになってほしいけど、そうはいかなくて、だから泣いちゃうのかな、と思って。

 

そんなことを考えていたら、友人のツイートが目に入った。

「春田が足りない」っていうツイート。

「おっさんズラブ」の2期に激ハマりした彼女は(わたしもだけど)、キャラクターにすごく愛を持っていて(わたしもだけど)、みんなに幸せになってほしいと思っている(わたしもだけど!)。

でも、主人公であるところの春田はひとりしかいないのだ。

シノさんにも成瀬にもひなちゃんにも、もちろん機長にも幸せになってほしいのに、春田はひとりしかいない。

誰かが春田と結ばれたら、ほかの人は春田とは結ばれないんだなぁ、当たり前なんだけど。

春田を愛する人と同じだけ春田がいたらいいのにねえ、って思ってて。

 

 

で、ああそうか!と思って。

宅間さんの物語の切なさや愛おしさを構成する大事な要素が「足りなさ」なんだなと。

 

たとえばひとりの人をふたりが愛したときに、少なくともひとりは、もしかしたらふたりとも、愛した人とは結ばれない。

たとえばふたつの家族を持ってしまった人。

たとえば子どもの人生に最後まで寄り添えない人。

たとえばどこかで今までの自分を見失ってしまった人。

たとえば自分の居場所を見つけられない人。

たとえば自分の生きる意味を見つけられない人。

 

みんななにかが足りなくて、物語の結末で、それが埋められるとは限らない。

というか、大抵の場合埋められない。

 

そりゃそうなんだよな、と思って。

 

愛した人と結ばれる人だって、家族のことを一切の隙もなく愛し続けられる人だって、24時間365日自分らしくいられる人だって、そんなにたくさんはいないと思う。

宅間さんの物語は、物語だけど、その足りないものを簡単に補充しない。

とても美しくて素敵で楽しいのに、いちばん大事なところで実はすごくシビアで、残酷。

ちょっとしたタイミングのずれだったり、ちょっとした時代の動きだったり、ちょっとした戸惑いだったり、迷いだったり、そんなふとした瞬間で、その後のその人の人生を変えてしまうような出会いや喪失が生まれる。

で、出会ったからって劇的に人生が華々しくなるわけじゃないし、足りていないからってそこで人生が終わるわけでもなくて。

 

その切なさとかひたむきさとか強かさとかって、何度見ても色褪せないんだな。

だから何度見ても泣けてしまうんだなー…。

 

という自分なりのひとつの結論を見出したのでした。

この結論に至るきっかけが戸次さんの出てるドラマだったっていうのもなんかいいな。

あーもう一回観たい。

 

 

「流れ星」、東京公演は今週末で終わりなんですけど、あと名古屋と大阪とあるので。

あと、来年は「くちづけ」っていうすごいやつやるので。

 

どうぞよろしければタクフェスに足をお運びください。

泣いてほしいんじゃなくて、この切ない愛おしさをあなたと共有したいのです。


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